春を過ぎて暖かくなると、軒下や鉢植えの底などにナメクジが姿を見せ始めますよね。私は特に苦手というわけではないのですが、嫌いな人にっとてはあの見た目が本当にダメなようで、見つけるやいなや塩をかけて退治するそうです。
ところで、どうしてナメクジに塩をかけると溶けてしまうのでしょうか。小さい頃は「ナメクジとはそういう生き物」ということで、あまり疑問に思いませんでしたが、よくよく考えたたらコレって凄いことですよね。
スリッパで叩き潰すわけでもなく、強力な殺虫剤をかけるわけでもなく、ごくありふれた塩という調味料をかけるだけで退治できてしまうんですから。ナメクジの体の中では一体何が起こっているんだろう...。
というわけで、ナメクジが塩で溶ける理由を調べてみました!本日は私が調べた結果をシェアしたいと思います。ぜひ最後までお付き合いくださね〜
ナメクジが塩で溶ける理由
まず初めに結論を申しますと、ナメクジが塩で溶ける理由は
- 浸透圧により体内の水分が外に出るから
です。
おーっと、さっそく難解な単語が出てきましたねぇ...。『浸透圧(しんとうあつ)』という言葉は多くの方が聞いたことないかと思います。
私自身も、高校生の時に化学の授業で小耳に挟んだ程度で、それ以降は今に至るまで一度も聞いたことありませんでしたからね。おそらく生活する上では、必要のない言葉かと思われます。
ただ、浸透圧が何なのか知らないことには、ナメクジが塩で溶ける理由がいまいち理解できませんので、ここで簡単に解説しますね!
浸透圧とは?
浸透圧とは、
- 半透膜を挟んで濃度の異なる液体がある場合に、濃度を均一にしようとする働き
のことです。
だ、大丈夫です!!専門用語だらけで訳わからないかもしれませんが、言っていることはとてもシンプルなので、もう少しだけ付き合って下さいね(汗)
とにかく重要なのは、濃度を均一にしようとする働きということです。それだけ覚えて、まずは
- 濃いめの塩水
- 薄めの塩水
この2つが、半透膜を挟んで接していることをイメージして下さい。
図を見ていただければわかる通り、濃いめの塩水には、薄めの塩水よりも多くの塩の粒が溶け込んでいますね。そして間には半透膜(はんとうまく)という膜があります。
半透膜には小さな穴が無数にあります。要はフィルターのようなものですね。このフィルターは液体は通過できますが、そこに溶けている塩の粒などの粒子は通過できません。
さて、今のところは右側の塩水の方が濃度が高いですよね。ここで、先ほど言った通り濃度を均一にしようとする働きが起こります。ではそれはどんな働きでしょうか?
普通に考えれば、塩の粒が左側に移動すれば濃度を均一にできますが、先ほど申した通り半透膜の構造上それはできません。なので、水が右側に移動します。
こうすることで、左右を同じ濃度にするわけですね。つまり、濃度が違う液体が半透膜を挟んで接している場合、濃度の低い方の液体が濃度の高い方へ移動することで濃度を一定に保ちます。
これこそが浸透圧です!!で、これと同じことがナメクジの体の表面でも起こっているわけなんですよねぇ。それでは、浸透圧が分かったところで話をナメクジに戻しましょう〜
ナメクジの体の表面で起こる浸透圧
ナメクジには人間のような皮膚はなく、体全体が薄い膜で覆われています。この膜というのが先ほど説明した半透膜と同じ性質を持っているんですよね。
そして、ナメクジは体が乾かないように、常に膜から粘液(ねんえき)を出しています。
では、ここに塩をかけたらどうなるでしょうか。
まず、塩が粘液に溶けて非常に濃度の高い塩水が出来上がります。
すると、浸透圧により膜の中と外の濃度を一定に保つために、体内の水分が膜を通過してどんどん外に出て行きます。
で、実はナメクジって体の約90%が水分でできているんですよねぇ。なので塩をかけ続けると、どんどん体の水分を出して小さくなってしまうというわけなんです。
これが、ナメクジが塩で溶ける理由です!
さて、ナメクジに塩をかけると溶ける(干からびる)理由を解説してきました!ここからは、おそらく皆さんがナメクジに対して抱いているであろう素朴な疑問を解決していきたいと思います^ ^
ナメクジ関するQ&A
本日取り上げるのは以下の3つの疑問です!
- ナメクジは塩以外でも溶けるの?
- 一度溶けた後に水をかけたら復活するの?
- ナメクジだけでなくカタツムリも溶けるの?
それでは順番に見ていきましょう〜
1. ナメクジは塩以外でも溶けるの?
ナメクジと言えば、真っ先に思い浮かぶのは「塩」だと思いますが、実は塩以外のものでもナメクジを溶かすことができます。
というもの、先ほど説明した通りナメクジは、塩によって膜の外側の濃度が上がり、それを一定にしようとした結果溶けますよね。なので、塩に限らずとも水に溶けて濃度を上げられるものなら何でもOKなんですよ!
例えば、砂糖はもちろんのこと
- 小麦粉
- 片栗粉
- ミョウバン
なんかでも、同様の効果が見られるそうです。
ただし、吸水性の関係でやはり塩が最も効果的なんだとか。
2. 一度溶けた後に水をかけたら復活するの?
これはけっこう耳にしますよねぇ。
では、実際のところどうかと言いますと、塩をかけた直後なら復活するそうです。つまり、溶け始めてすぐであれば、水をかけて塩を流してやれば復活するとういわけですね。
ただし、先ほど申した通り、ナメクジは体の約90%が水分なので、永遠と塩をかけていれば最後には脱水症状で必ず死にます。そして、一度死んでしまったら水をかけても復活しません...。(大きくなるかもしれませんが)
これに関しては、干し椎茸や干し昆布を水に浸けると「戻り」はしますが、生物として「生き返らない」のと同じですかねぇ。
3. ナメクジだけでなくカタツムリも溶けるの?
ナメクジが塩で溶けるのであれば、カタツムリも溶けるのかどうかも気になりますよねぇ。なんとなく似たような生き物ですし。で、調べてみたところカタツムリも溶けます...。
これに関してはナメクジと全く同じ理由で、カタツムリも体の表面が半透膜の性質を持った膜で覆われているんだそう。なので、ナメクジと同じく塩やその他の調味料で普通に溶けます。
ただ、一般的にはカタツムリを見つけても「塩かけてみよう!」とはなりませんよね。似たような生き物ですが、世間にはナメクジの方が嫌われているように感じます。
ナメクジ的には「解せぬ」といった気分でしょうか。
最後に
いかがでしたでしょうか。ナメクジが塩で溶ける理由について解説してきました!
最後にもう一度要点をまとめますと、
ナメクジの表面は薄い膜で覆われていて、絶えず粘液が出ている。そこに塩をかけると、粘液に溶けて高濃度の塩水になる。すると、膜の内側との濃度の一定に保つために体内から水分が出る。そのため、ナメクジは体の水分がなくなり溶ける(正確には干からびる)。
この、濃度の一定に保つための働きを浸透圧という。
ということでしたね!
まさか、ナメクジが溶ける理由に浸透圧が関係しているとは思いませんでした。
また、塩以外でも溶けるというのも興味深かったですが、ナメクジにあれこれ調味料をかけていると、なんか料理しているみたいでちょっとアレですね...。
以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!少しでもお役に立ちましたら幸いです。