言葉の雑学

販売と発売の違いは実は奥が深かった!【販】の文字に隠されたルーツ

投稿日:2018年2月22日 更新日:

先日、近所のスーパーに買い物に行った時のことです。

お菓子コーナーを歩いていたところ、「新発売」とか書かれたチョコレート菓子が売られていました。

そして、その隣で「只今、新商品の試食販売を行っておりま〜す」と、手際よくチョコにつまようじを刺している販売員さん。

 

 

その時、ふと思ったんですよね。そう言えば『発売』『販売』の違いって何だろう?と。どちらも、「もの売る」という意味なのは何となく分かるのですが、それ以上の違いはいくら考えても分からず...。

 

とりあえず、その新発売のチョコを1箱だけ買うことにしました。(あっ、試食も1つ頂きました。)

 

それから家に帰り、先ほどの疑問をネットで調べてみると、「あー、なるほどね!」という違いが見つかりました。というわけで、本日は私が調べた結果をシェアしたいと思います!

 

スポンサーリンク

販売と発売

まず最初に結論を申しますと、販売と発売には以下のような違いがあります。

 

販売・・・お客さんに商品を売る行為

発売・・・市場に商品を売り始める行為

 

どちらも「売る行為」であることには変わりないのですが、微妙に違いがありますね。

ただ、これだけだとイマイチ分かりづらいと思いますので、それぞれの意味を詳しく見ていきましょう〜

 

販売の意味

「販売」の意味を調べてみたところ、以下のように書かれていました。

 

はんばい【販売】

販売(はんばい)は、商品を顧客に売る(所有権を移転する)行為を指す。

Wikipedia 

 

所有権の移転というと少し難しいですが、要はお金をもらう代わりにお客さんに商品を渡す行為ということですね。

 

 

ですので、

  • スーパー
  • コンビニ
  • 服屋

などの、いわゆる「お店」は、どこも販売を行っていると言えます。実際、私もお金を払うことでチョコを買うことが出来ましたからね。

 

また、スーパーやコンビニなどのお店に限らず、メーカーや卸売業者もそれぞれの顧客に商品を売っているので、販売をしていると言えます。

 

例えば、メーカーが新しいカメラを作ったとして、それが私たち消費者の手元に届くまでには、

メーカー → 卸売業者 → 小売店 → 消費者

という流れがあります。(簡単に書くと)

 

 

この時、「小売店 → 消費者」はもちろん販売しているわけですが、同様に

  • メーカー → 卸売業者
  • 卸売業者 → 小売業者

も販売をしているというわけですね。

 

 

 

ちなみに、販売の「販」とうい漢字を調べてみると、このように書かれていました。

 

はん【販】

「貝」と、行き来させる意を示す「反」とからなり、貨幣を品物に、品物を貨幣にとりかえる意を表す。

意味:商う、売買する、売る、売ってもうける

角川 新字源

 

なんと、「販」という字自体が、物の売買を表しているそうです!

それに「売」という字が付くわけですから、販売とはまさにお金と物を交換する行為そのものだと言えますね。

 

 

ちなみに、

「貝」という字が、どうして貨幣なの?と思われた方もいらっしゃいますよね。実は、今のような貨幣がなかった古代中国では、貝殻がお金の代わりとして使っていたんです。

今でもお金関係の表す漢字、『財』『貯』『買』『貨』『賭』などには、すべて貝という漢字が使われていますよね^  ^

 

 

 

さて、販売の意味がわかったところで、日常生活の中から幾つか具体例をあげてみると、

  • 通信販売
  • 訪問販売
  • 移動販売

などがありますね。

確かにこれらは全て、お客さんに商品を売る行為だと言えます。それから、自動販売機というのも、まさに販売そのものですよね^ ^

 

 

では、続いて発売の意味を見ていきましょう〜

スポンサーリンク

発売の意味

「発売」を辞書で引くと、このように書かれています。

 

はつばい【発売】

売り出すこと。

明鏡 国語辞典

 

ちょっと...あまりに簡潔すぎませんかね(汗)

 

ということで、さらに「売り出す」という言葉の意味を調べてみます^^;

 

 

うりだす【売り出す】

1. 品物を商品として売り始める。

2. 品物を商品として市場に出す。特に新しく市場に出す。

明鏡 国語辞典

 

 

ふむふむ。なるほど。

 

販売はお客さんに売る行為(お金と品物の交換)でしたが、発売は市場に売り始める行為というわけです。

 

とすると、発売という言葉は

メーカー → 卸売業者 → 小売店 → 消費者

というの流れの中で、メーカーに対して使うのが適当な感じがします。

「ソニーが発売したカメラ」とは言いますけど、「ビックカメラが発売したカメラ」というのは違和感がありますからね^^;

 

 

ちなみに販売元・発売元は?

商品に不備があった時に、

  • 「販売元に問い合わせよう」
  • 「発売元に電話しなくちゃ」

なんて言いますよね。

この2つが何を指すのか確認しておきましょう!

 

発売元とは商品を発売した会社、つまりメーカーです。

 

一方で、販売元は誰がお客さんかによって、以下のように変わります。

お客さん販売元
消費者小売店
小売店卸売業者
卸売業者製造業者

 

つまり、私たち消費者にとっては、小売店が販売元になるわけですね。くれぐれも卸売業者にクレームを付けないように気をつけましょう^^;

 

 

 

さて、販売はお客さんに売る行為。発売は市場に売り始める行為だとわかりましたが、この2つは見方を変えると

  • お客さんに売る行為・・・継続的
  • 市場に売り始める行為・・・一時的

とも言えそうです。

 

発売は売り始める行為、つまり売りに出される「その瞬間」というニュアンスを感じます。一方で、販売は継続的にお客さんに売る行為というニュアンスを感じます。

 

実際、先ほど販売の例として挙げた、

  • 通信販売
  • 訪問販売
  • 移動販売

などは、どれも継続的に行われる活動ですよね。

 

それに対して、

  • 発売日
  • 新発売

などは、時間的に限定されています。

 

 

 

ただ、この考えでいくと、1つだけ合わない言葉があるんですよね...。それが「発売中」です。

 

「発売中」は間違い?

 

発売は、市場に売り始める行為、つまり「開始」「瞬間」といった時間的に限定されたニュアンスを持ちます。であるなら、それが継続している「発売中」という言葉は間違っているようにも感じますよね...。

正しくは「販売中」なんじゃないかな、と。

 

とは言っても

  • 好評発売中
  • 絶賛発売中

などのように、ごくごく普通に使われています。むしろ使われ過ぎていて「本当に好評なのだろうか?」と疑ってしまうくらいですよね。(私だけ...?)

 

 

で、果たしてこの「発売中」という言葉の使い方が間違いなのか否か、図書館にある国語辞典を片っ端から読んで調べてみました^^;

 

で、書いてありました。「三省堂 大辞林」に。

 

はつばい【発売】

うりだすこと。

 

うりだす【売り出す】

1. 売り始める

2. 特別に宣伝して大いに売る

三省堂 大辞林 

 

こ、これですね。この2番目の意味でしたら、継続していても全然問題ありません!

 

それにしても、発売には「特別に宣伝して大いに売る」という意味があったんですね〜

確かに、販売中だと「へえ、売ってるんだ」くらいにしか思いませんが、発売中だと何となく新鮮さとか目新しらを感じますもんね。

お客さんに与える印象も違いますし、お店が積極的に発売中を使うのも納得です^  ^

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。販売と発売の違いについて解説してきました!

 

 

最後にもう一度要点をまとめますと、

販売と発売の違いは、

  • 販売・・・お客さんに商品を売る行為
  • 発売・・・市場に商品を売り出す行為

です。

販売は、コンビニやスーパなどの小売店だけでなく

  • メーカー
  • 卸売業者

なども広く行っている。

一方で発売は、新しく商品を売り出す行為なので、基本的にメーカーが行っている。

 

また、販売と発売の違いは見方を変えると、

  • 販売・・・継続的
  • 発売・・・一時的

とも言える。

 

ただし、発売には特別に宣伝して大いに売るという意味もあるので、「発売中」という使い方も正しい。

 

ということでしたね!

 

普段はなかなか意識しないことですが、今回、たまたまスーパーの試食コーナーに足を運んだことで、2つの違いを知ることができました^^;

何となく似たような言葉ですが、ちゃんと使い分けが必要ですね。

 

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!少しでもお役に立ちましたら幸いです。

スポンサーリンク

あわせて読みたい記事



-言葉の雑学

Copyright© くまのお役立ちサイト。 , 2024 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.