先日、刑事ドラマを見ていたら、取り調べのシーンで「マジックミラー」が使われていました。
マジックミラーと言えば、片側からは鏡に見えて反対側からは向こうが見えるという、まさに魔法の鏡ですよね。
今まではマジックミラーを見ても特に何も思わなかったのですが、その時だけは「一体どんな原理なの!?」と思ってしまったんです。唐突に。
そしたらもう、ドラマの結末よりもマジックミラーの原理の方が気になってしまって...。なので、その場ですぐに調べてました。
というわけで、本日はマジックミラーの原理や仕組みを、出来るだけ分かりやすく解説したいと思います!ぜひ最後までお付き合い下さい。
マジックミラーの原理
マジックミラーの原理は意外とシンプルで、部屋の明るさの違いを利用しているんです。
どういうことかと言いますと、
- 明るい部屋からは鏡に見える
- 暗い部屋からは向こう側が見える
というわけなんです。
では、どのようにして見え方の違いを作り出しているのでしょう。
それを知るために、マジックミラーの仕組みを解説していきますね〜
マジックミラーの仕組み
マジックミラーを含めて、そもそも鏡というものは、ガラスに銀などのめっきを着けたものです。(ざっくり言うと)
この銀めっきに光が反射することで、私たちは鏡に映る自分の姿を見ることができるわけですね。
一般的な鏡というのは反射率がほぼ100%です。つまり、鏡に当たった全ての光を反射し、向こう側には光を一切通さないということですね。(厳密には少しだけ通します...)
ただ、銀めっきを薄くすると反射率が下がります。
つまり、銀めっきを薄くすることで、鏡の向こう側にも光を通すことが出来るわけですね。ちなみに、光が物体の中を通ることを透過(とうか)と言いますよ!
では本題。マジックミラーとは何なのかと言いますと、銀めっきを非常に薄くした鏡です!するとどうなるか。おそらくご想像が付くかと思いますが、その通りです。光がけっこう透過します。
どれくらい透過するかは、マジックミラーによって変わりますが、だいたい反射率50%が理想的だと言われています。つまり、マジックミラーに100の光を当てたら、50は反射して50は透過するということですね。
このように『銀めっきを薄くすることで反対側にも光を透過させる』、これがマジックミラーの仕組みです!
ではなぜ、こうすることで片側からだけ見える状態になるのか。それには最初にチラッと説明した部屋の明るさの違いが深く関係していますよ!
部屋の明るさの違い
皆さんがマジックミラーを見たときのことを思い出してほしいのですが、鏡の両側の部屋(空間)に結構な明るさの違いがありませんでしたか?
きっと、あったはずです。なぜなら、その明るさの違いこそが、「片面は鏡でもう片面は向こう側が見える」という状態を作るカギなんですから!(探偵っぽい←)
どいういうことか簡単に説明しますね。
ここに、
- 明るさ100の部屋
- 明るさ20の部屋
の2つの部屋があり、それぞれに男性・女性がいます。
そして、部屋の間には反射率50%のマジックミラーがあります。数字がたくさん出てきてますが、難しくないので安心してくださいね。
先ほど説明した通り、マジックミラーの反射率は50%なので、部屋Aの100の光のうち50は反射して50は透過しますよね。
同じように、部屋Bの20の光も10は反射して10は透過します。
するとどうでしょう。どちらの部屋にも
- 部屋Aの光50
- 部屋Bの光10
が届いていますね。
ここで大事なポイントが1つあります。弱い光は強い光にかき消されます。
なので、男性には部屋Bの光は届かず、自分の部屋の光だけが届く、つまり鏡として見えるわけです。
一方で女性には、自分の部屋の光が届かず、部屋Aの光だけが届く、つまり向こう側が見えるというわけなんですね。
これが、マジックミラーの原理です!
ちなみに「弱い光は強い光にかき消される」というのは、音で考えると分かりやすいですよ。
例えば、ライブなどの騒がしい場所では、ひそひそ声で会話しようとしても周りの音にかき消されて声が聞こえませんよね。それと同じで、弱い光は強い光にかき消されてしまうわけです。
また、キャラの濃い人たちの中では、私のような影の薄い人間は存在がかき消されます...。
とりあえず、これでマジックミラーの原理は分かっていただけたかと思います!
マジックミラーは、表からは鏡に見えて裏からは透けて見えるというのよく聞くのですが、これは間違いです。マジックミラーの見え方に裏表は関係ありません。
初めに説明した通り、明るい方からは鏡に見えて、暗い方からは透けて見える、が正解です。
なので、例えば自分が明るい側の部屋にいても、マジックミラーに顔を近づけて、目の周りを手で囲うようにして見れば、向こう側が見えてしまうんです。
要は、自分の目の周りだけでも、向こう側より暗い状態を作れば見える、ということですね。(※悪用厳禁)
ちなみに、マジックミラーの原理は明るさの違いがポイントだと言いましたが、もし明るさの違いが無かったらどうなるのでしょう。
例えば、どちらも明るさ100の部屋だった場合は、こうなりますよね。
どちらの部屋にも
- 部屋Aの光50
- 部屋Bの光50
が届いていますね。
これは、自分の姿も見えるし向こう側も見える、ということです。
新幹線に乗っている時に、外の景色も見えるし窓に映った自分も見える、という状態をイメージしていただければ分かりやすいかと思います!
つまり、マジックミラーは部屋の明るさに違いが無ければ、全く役に立ちません...。
さて、ここまでマジックミラーの原理を説明してきました。
私はこの原理を知ったときに非常に感心したのですが、実はもっと身近に同じ原理のものがあるんです。
何だと思いますか?
正解は「すだれ」です!
すだれも同じ原理
日除けや虫除けとして使われるすだれ。今では夏の風物詩の一つでもあります。
実際に使っていて気付いた方もいらっしゃるかと思いますが、晴れた日の昼間はすだれ越しに外の風景が見えますよね。
ですが、外から中の様子は見えません。
反対に陽が落ちて暗くなると、中から外の風景は見えません。ですが、外から中の様子が見えるようになります。
これは、今まで説明してきたマジックミラーの原理と全く同じですよね!
要するに日中は、
- 部屋の明るさ < 外の明るさ
なので、中から外が見える。
反対に夜間は、
- 部屋の明るさ > 外の明るさ
なので、外から中が見えるというわけですね。
ただし、マジックミラーと違って、明るい方から見ても鏡にはなりません。もし、すだれに自分の顔が映ったら、それは多分見えてはいけないものが見えてます。そっと目を閉じましょう...。
最後に
いかがでしたでしょうか。マジックミラーの原理について解説してきました!
最後にもう一度ポイントをまとめますと、
- マジックミラーは、銀めっきの部分をとにかく薄くすることで反射率を抑えた魔法の鏡
- 明るい方からは鏡に見えて、暗い方からは向こう側が見える
- 明るさの違いが無い場合は、あまり役に立たない
- すだれも同じ原理
ということでしたね!
私はこの原理を知れたことで、今後マジックミラーを見かけたときは、「君が身を削ってまでして向こうの世界を見せてくれていることを私は忘れない」と、思いたいです。
以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!少しでもお役に立ちましたら幸いです。