小さい頃から爬虫類全般が好きです。中でも身近なトカゲは大好きで、見つけてはよく追いかけ回していましたねぇ。
さすがに大人になってからは、そういう行動は差し控えるようになりましたが、それでも道端でトカゲを見つけると、「あぁ、捕まえたいよー。でも、いい大人がそんなことしたら...」と、いつも葛藤しています。
で、トカゲって捕まえようとすると、尻尾を切って逃げてしまうことが多いですよね。そして、時間が経つと尻尾がまた生えてきます。
子供の頃は、「トカゲとはそういう生き物」と思ってましたが、よくよく考えたらコレって物凄いことですよね。だって、自分で体の一部を切断して、しかもそれが生えてくるわけですから...
一体、トカゲの尻尾はどうなっているんだろう。
そう思いトカゲの尻尾の仕組みを徹底的に調べてみました!本日はその結果をシェアしたいと思います。ぜひ最後までお付き合い下さいね〜
トカゲの尻尾の仕組み
では早速トカゲの尻尾の仕組みを解説していきますね!
ただ、一口に仕組みと言っても意味が広いので、
- 尻尾が切れる仕組み
- 尻尾が再生する仕組み
の2つの視点に分けて見ていきましょう〜
どうして尻尾は簡単に切れる?
それでは、まず尻尾が切れる仕組みからご説明します!
トカゲの尻尾の中には、ちゃんとした硬い骨があります。それなのに、どうして少し触っただけで簡単に切れてしまうのか不思議ですよね。
それはズバリ
- 切れやすい構造をしているから
です。
どういうことかと言いますと、トカゲの尻尾の骨には「脱離節(だつりせつ)」という小さな節がいくつも入っていて、骨同士がまるでビースを繋いでいるかのようにくっ付いているんです。
もう少し拡大してみるとこんな感じす。
この脱離節に沿うように、周りの筋肉や皮膚にも切れ目が入っています。つまり、脱離節の部分は、言ってみれば紙のミシン目のようなもので、非常に切れやすいんですよね。
で、トカゲは身の危険を感じると、脱離節の近くの筋肉に対して、尻尾を切断する方向に力をかけます。筋肉同士で綱引きをするようなイメージですかね。
すると、簡単に切れます。
そして、尻尾を切った後は切断面の筋肉が収縮することで流血を防ぎます。
これが、トカゲの尻尾が簡単に切れる仕組みです!
また、先ほど「トカゲは身の危険を感じると〜」というふうに書きましたが、実は尻尾の切断はトカゲの意思とは無関係に起こります。
私たちも、熱いヤカンに触ってしまった時は、考えるよりも先に「熱っ!」と手を引っ込めますよね。
これと同じで、トカゲは尻尾のあたりに何かが触れたのを感じると、「ヤバイ、捕まるっ!」と言わんばかりに、反射的に尻尾を切断するんだそうですよ。
ちなみに、このように自分の体の一部を切り離す行動を「自切(じせつ)」と言い、トカゲ以外にも
- クモ
- ミミズ
- カニなどの甲殻類
も自切することが分かっています!
続いて尻尾が再生する仕組みを見ていきましょう〜
どうして尻尾は再生するの?
さて、トカゲの尻尾が再生する仕組みですが、実はコレって物凄く複雑なんですよねぇ。
それこそ、ちゃんと解説しようと思ったら、
- 遺伝子
- 細胞
- 神経組織
などの難しい専門用語を、これでもかというくらい使わなくてはいけません^^;
実際のところ、少し前までは尻尾が生える仕組みは謎のままで、2007年にロンドン大学の研究チームによって、ようやくメカニズムが解明されたんですよね。
なので、尻尾が再生する仕組みについては、
- 特殊な遺伝子が働いている
と思っておくのが良いかと思います。
実際のところ、トカゲが尻尾を再生するときには、特定の326個の遺伝子が活性化されるんだそうです。
また、この326個の遺伝子のうち、なんと302個は哺乳類にも共通して持っているらしく、トカゲを研究することで再生医療に役立つと言われているんですよ!
もし、興味があって詳しく知りたい方は、こちらのサイトを見てみてください。とても詳しく解説されています!
尻尾が再生するのは脱離節の部分で切断した場合のみです。
なので、人為的に脱離節じゃないとこで切断しても、尻尾は生えてきません。
また、生えてくるから大丈夫と思ってブチっとするのはご法度ですからね...。
さて、ここまで
- 切断
- 再生
2つの視点からトカゲの尻尾の仕組みについて解説してきました。
ここからは、皆さんがトカゲの尻尾に対して抱いているであろう素朴な疑問を解決していきたいと思います!
尻尾に関する疑問あれこれ!
さて、皆さんトカゲの尻尾に関して色んな疑問をお持ちかと思いますが、本日取り上げるのは、
- 尻尾が再生するまでの期間は?
- 尻尾が再生する回数は?
- どうして切った尻尾は動くの?
の3つです!
それでは、順番に見ていきましょう〜
1. 尻尾が再生するまでの期間
まず、尻尾が再生するまでの期間ですが、これは
- 種類によってバラバラ
です。
例えば、先ほど説明したロンドン大学の研究チームは「アノールトカゲ」という種で実験をしたのですが、このトカゲは尻尾の再生まで約25日だったそうです。
それに対して、私の生活にとって身近な「カナヘビ」は、尻尾の再生まで約50日。
また、その他にも種類によって半年〜1年と実に様々です!
- ちなみに...
実は私、今までカナヘビのことをずーっとトカゲだと思っていたんですよね...汗で、皆さんが一般的にトカゲと呼んでいる『ニホントカゲ』って、一度も見たことがないんです!
つい先日そのことを知った私は、非常に衝撃を受けてすぐに『トカゲ』と『カナヘビ』の違いを調べてみました。
もし、『あれ?どっちがトカゲでどっちがカナヘビだっけ?』と不安のある方は、ぜひこちらの記事を呼んでみて下さい^ ^
2. 尻尾が再生する回数は?
続いて、尻尾が再生する回数ですが、きっと多くの方が何度でも再生すると思っているのではないでしょうか。
たしかに再生回数に制限はないのですが、実際にはそう何度も再生することはありません。
その理由は、
- 新しく生えてくる尻尾は、元の尻尾とはだいぶ違う
からです。
先ほど、トカゲの尻尾に切断しやすくするための脱離節があると言いましたよね。
ですが、新しく生えてくる尻尾には脱離節はなく柔らかい一本の軟骨でできているんです。
つまり、再生した部分で尻尾を切断することは出来ず、次に切断するときは、最初に切断した箇所よりも胴体側で切断しなくてはいけないわけです。
でも、それなら出来るだけ尻尾の先端の方から切断していけば、無制限とは言わなくてもある程度の回数はいけるのでは?と思いますよね。
ところが、そう上手くは行きません。
それは、
- 尻尾の再生には相当のエネルギーが必要だから
です。
トカゲの尻尾というのは栄養をため込む場所らしく、そこを再生するというのは莫大なエネルギーが必要なんですよね。
実際のところ、尻尾を再生する途中で力尽きてしまうトカゲも多くいるんだそうですよ。また、切断面から細菌が入り込み病気にかかるケースも多いんだとか。
なので、トカゲにとって尻尾を切るというのは、「ちょっと捕まりそうだから逃げるか」ではなく、命懸けの脱出作戦というわけなんです...。
3. どうして切った尻尾は動くの?
実際に見たことがある方はご存知かと思いますが、切断された尻尾って動きますよね。
もし、見たことがない方はこちらの動画をどうぞ。※こういった動画が苦手な方はご視聴をお控えください
で、どうしてこのように尻尾がニョロニョロと動くかと言いますと、
- 相手の注意を引くため
です。
そもそもトカゲが尻尾を切るのは相手から逃げるためですが、ただ尻尾を切るだけでは、またすぐに捕まってしまうかもしれません。
そこで、残った尻尾がニョロニョロと動き、相手の気を引いている隙に逃げるというわけなんですね。いやぁ、生きるための知恵は本当にすごいです...。
胴体から切り離されても尻尾が動いていられるのは、まだ神経と細胞が生きているからだと言われています。
タコやイカが足を切っても動いているのと同じですね。
ただし、時間が経ち血液の循環が悪くなると、細胞が死滅していきやがて動かなくなります。だいたい、10分くらいは動き続けられるそうですよ。
最後に
いかがでしたでしょうか。トカゲの尻尾の仕組みについて解説してきました!
最後にもう一度要点をまとめますと、
トカゲの尻尾が簡単に切れるのは、
- 尻尾の骨に脱離節という節があるから
トカゲは身の危険を感じると、反射的に脱離節に沿って尻尾を切断する。これはトカゲが意識的に行っていることではなく、反射的な行動とういのがポイント。
トカゲの尻尾が再生する仕組みは、簡単に言うと切断面の細胞が空気に触れて細胞分裂を繰り返すことによる。
ただし、厳密には非常に複雑。
ちなみに、尻尾は脱離節で切断されないと再生しないので、人為的に脱離節以外の部分を切断した場合は再生不可。
そして、再生するまで期間は、
- 25日
- 50日
- 半年〜1年
など様々。
また、再生できる回数に制限はない。
ただし
- 新しい尻尾には脱離節がない
- 再生にはかなりのエネルギーが必要
などの理由から、基本的には一回限り。
切断した尻尾が動く理由は、
- 相手の注意を引いて、その隙に逃げるため
また、胴体から離れても尻尾が動いてられるのは、切断してすぐは神経と細胞が生きているから。
ということでしたね!
これまで好奇心のままにトカゲを追い回していましたが、尻尾を切るというのが命がけの行動だと知り反省しております...。
今後はトカゲを怖がらせないように、遠くから眺めるだけにしますm(_ _)m
以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。少しでもお役に立ちましたら幸いです。
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