日本には謝罪の言葉がたくさんありますよね。
- ちょっと相手にぶつかったとき
- 待ち合わせに遅れたとき
- 仕事で重大なミスをしたとき
きっと皆さん、相手や状況に応じて、適切な言葉を使い分けていると思います。
海外の人からは「日本人は謝り過ぎだ」なんて言われてしまうこともありますが、私はこうした日本人の国民性や文化は、とても美しいと思っています。
さて、色んな謝罪の言葉がある中で、日常的によく使われているのは「ごめんなさい」と「すみません」ですよね。
ところで、皆さんはこの2つの違いを知っていましたか。
どちらも謝罪の言葉であることには変わりないのですが、厳密には使い分けがあるんですよ。
きっと、ほとんどの方が、すぐには思い浮かばないのではないでしょうか。
というわけで本日は、「ごめんなさい」と「すみません」の使い分けについて解説してみます。
また、「どっちが丁寧な言葉なの?」という疑問を持っておられる方も多いと思いますので、それについても最後に触れておきます。
どうぞ、最後までお付き合いください。
「ごめんなさい」と「すみません」の使い分け
この2つの言葉の使い分けですが、先に結論を言ってしまうと、
「その場で謝って済むかどうか」
です。
- その場で謝って済むこと → 「ごめんなさい」を使う
- その場で謝って済まないこと →「すみません」を使う
では、なぜこのように使い分けるのか。
それを知るために、それぞれの語源を見てみましょう。
「ごめんなさい」の語源
「ごめんなさい」は漢字で書くと「御免なさい」となります。
この言葉を分解して考えると、
「御」・・・丁寧を表す接頭語
「免」・・・許可、許し
「なさい」・・・命令の意味(〜しなさい)
と、なります。
つまり「ごめんない」とは、「私を許しなさい」という命令の意味だったんです。
似たような言葉に、
- お行きなさい
- お食べなさい
- ご覧なさい
などがあります。
これらも、『相手に対して丁寧に動作を促す』言葉ですよね。
ただ、今では「ごめんなさい」に命令の意味はなく、相手の許しを請う意味で使われるのが一般的です。
とは言え、どちらにせよ「相手の許しを得てそれで終わり」という意味には変わりありません。
「すみません」の語源
では、「すみません」はどうでしょう。
「すみません」は、漢字で「済みません」と書きます。
ピンときた方も多いんじゃないでしょうか。
ひとまず、語源を見てみましょう。
「すみません」は、動詞の「済む」が元になっています。
これに、打ち消しの助動詞「ぬ」がついて「済まぬ」。
それを丁寧な形にして「済みませぬ」。
「ぬ」が「ん」に変化して、「済みません」となりました。
「済む」という言葉には、「物事が終わる」という意味がありますよね。(例、仕事が済む)
ですが、それ以外にも
- 気持ちがはれる
- 気持ちがおさまる
- 心が澄み切る
という意味もあるんです。
「そんなんじゃ私の気持ちが済みません!」とうい使い方をしますよね。
つまり、「すみません」という謝罪は、失礼なことをしてしまい、このままでは自分の気持ちが澄み切らない状態を表わすわけです。
なので、謝罪のあとに何かしらの行動が必要な場合に「すみません」を使います。
実際の例
ざっくりと使い分けを説明しましたが、実際の例を使って分かりやすく説明してみますね。
今回は、以下の5つのシチュエーションを用意しました。
- 待ち合わせに遅れたとき
- 仕事でミスをしたとき
- 道でぶつかったとき
- 相手のものを破損させたとき
- 取り返しのつかないことをしたとき
それでは、順番に見ていきましょう。
1.待ち合わせに遅れたとき
例えば、友人との待ち合わせに遅れてしまったときはどうでしょう。
もしかしたら、相手はとても怒っているかもしれません。
ですが、一般的には謝って済みますよね。
なのでこの場合は、「ごめんなさい」を使います。
2.仕事でミスをしたとき
仕事でミスをしまったときはどうでしょう。
そんなときは「何とかして挽回しなくちゃ」「他の部分で埋め合わせしなくちゃ」と思ったりしますよね。
なので、この場合は「すみません」を使います。
3.道でぶつかったとき
道でぶつかってしまった時はどうでしょう。
よそ見をしていたとか、最近だと「歩きスマホ」が原因になることが多いですかね ^^;
確かに不注意ではありますが、その場で謝罪すれば済むことですよね。
なので、この場合は「ごめんなさい」が適当です。
4.相手のものを破損させたとき
では、ぶつかった際に相手のものを壊してしまった場合はどうでしょう。
例えば、相手が買い物帰りの主婦で、ぶつかった衝撃で買い物袋を落としてしまい、中の卵が割れてしまった。
おそらく卵を新しく買って渡すか、何かしらをすると思います。
もしかしたら、相手が「気にしないでください」と言うかもしれませんが、気持ち的には、「その場で謝っただけでは済まない」という感じですよね。
なので、この場合は「すみません」です。
5.取り返しのつかないことをしたとき
上の例では、割れたのは卵でしたよね。
では、もしそれが「祖父から譲り受けた大切な懐中時計」だったらどうでしょう。
(実際にぶつかって懐中時計が割れることはないと思いますが ^^;)
これはもう、取り返しがつかないですよね。
こういう時は「申し訳ありません」を使います。
これは「申し上げる言葉がないほど、全面的に自分に非があり、本当に失礼なことをしていました」という意味です。
その場で済むかどうかの問題ではなく、もっととんでもない事をしてしまった時ですね。
私たちの認識でも、「申し訳ありません」は謝罪の度合いとしては、かなり上の方ですよね。
テレビでも、何かやらかした人が「申し訳ありませんでした」と、よく言っていますし。
ただ、テレビに限って言えば、「申し訳まりませんでした」と「真摯に受け止めて」は、ある種の常套句のような気がして、むしろこの2つだけ言ってれば良いんじゃない?的な感じが否めない今日この頃です。
どっちが丁寧な言葉なの?
さて、ここまで「ごめんなさい」と「すみません」の使い分けを解説してきました。
ここでもう一つ疑問に思うのは、「どっちが丁寧な言葉なの?」ではないでしょうか。
よく言われているのは、「ごめんなさい」の丁寧な形が「すみません」というものです。
ですが、これは間違いです。
それぞれの語源でも触れた通り、
ごめんなさい・・・「免なさい」に丁寧を表す接頭語「御」が付いたもの。
すみません・・・「済まぬ」の丁寧な形「済みませぬ」が元の形。
です。
つまり、それぞれ別の言葉で、どちらも丁寧な言葉なのです。
なので、目上の方に使っても失礼ではありません。
ただ、メールなどの文字のやり取りでは、「〇〇してしまい、すみません」や「〇〇してしまい、申し訳ありません」の方が使われる傾向にありますね。
まとめ
日本の代表的な謝罪の言葉「ごめんなさい」と「すみません」と使い分けを説明してみました。
繰り返しになりますが、
- その場で謝って済むこと → 「ごめんなさい」を使う
- その場で謝って済まないこと →「すみません」を使う
という使い分けです。
そして、その場で済むかどうかではなく、取り返しのつかないことをしてしまった場合は「申し訳まりません」でしたね。
ですが、これは厳密な使い分けですので、日常生活ではその辺が曖昧になっていると思います。
道でぶつかったときに「あっ、すみません」って言っても全然普通ですし、何か壊してしまった時に「ごめなさい」と謝ることだってあると思います。
なので、その辺は場の状況とか空気から判断して、適切な言葉を使えば良いと思います。
空気を読んだり、微妙な言葉のニュアンスを感じとれるのも、日本人の美しいところだと思いますしね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考になりましたら幸いです。
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